vol.01


遠藤 五一さん

遠藤農園(山形県東置賜郡高畠町)

ここ山形県高畠町は全国でも有機農業の発祥の地と言われていて、昭和45年から有機農業に取り掛かった最初の町です。私は昭和61年から有機農業に取り組んできました。高畠町は複合経営(稲作+果樹+畜産)といった農家が多く、ぶどうのデラウエアは単協で日本一の産地と言われ、果樹にも力を入れている地域です。そんな中で私は現在お米づくりに専念していて、コシヒカリ、つや姫、雪若丸、ゆうだい21を有機栽培しています。
すべてのお米は有機JAS認証をとっている肥料資材だけを投入しています。微生物が多くなればなるほど土壌が肥えていくのですが、化学肥料では土壌は肥えません。やはり生きた土をつくりながら継続可能な農業を続けていくことに取り組んでいます。

山形県高畠町の栽培環境

ここは盆地ですので、夏は暑く、涼しくなるのが早くて寒暖の差があって、美味しい果物や美味しいお米が生産できる環境にあります。 水は奥羽山脈水系の非常においしくきれいなお水を利用しながら作っています。ただこの水は冷たいので春先に水温がなかなか上がらない。外気温が上がらないと植物が養分を吸収できないというネックもありますが、いろいろな技術を含めて工夫を重ね、向上心を高く持ちながら現在に至っています。
きれいな空気、きれいな水、有機資材肥料を投入しながら、夏をすぎると寒暖差がでてきますので身の締まったおいしいお米が生産できます。 大変なことも多いですが楽しい農業をやっていかないと続かないという思いの中で、お米を買っていただく消費者の方の立場に立ち、そのお米を食べていただいたときの喜びや笑顔を思い浮かべながら、日々農業を続けています。

ゆうだい21との出会い

ゆうだい21は今年で4年目になります。宇都宮大学の方からゆうだい21を作ってもらえないかとお誘いがあって栽培をはじめました。最初はどういうふうに出来上がるか想像できなかったのですが、暦のような栽培マニュアルを参考にしつつも、おいしく作るポイントを探しながら毎年工夫を重ねています。

福島県ではゆうだい21をいち早く銘柄に申請して特産品と定めるようになった村があることも見てきましたが、山形県では4年前は銘柄米の登録がなされていなかったため品種名が書けない状態でした。そんな中で宇都宮大学やお米の検査員の方々など様々な方の尽力で令和3年に東北農政局で認可され、令和4年から山形県でも銘柄登録が完了し、ゆうだい21の品種名が米袋に記載できるようになりました。

ゆうだい21のおいしさと特徴

非常に稲丈が伸びやすく、倒れやすい。さらに長粒米系ということもあり途中で追肥をしないと米の太りがよくないという特徴があり、技術を要するお米であると思います。しかし食べるととても美味しく、お米の味、食感に関してはトップクラスだと思います。日本人の殆どがもち系を好むという背景もあって日本人の好みに合った食感をつかんでいるお米です。
普通に作っても美味しいのですが、ゆうだい21の持っている本当の美味しさを引き出すには栽培に慎重に取り組んでいかないといけないと感じています。
まだまだゆうだい21の知名度が低く全国に知られていないのが現状ですが、これからが有望なお米であると感じています。
余談ですが、私は3年前までは中国に毎年3回ほど行っていましたが、中国はどちらかというと長粒米が好まれるので、もし中国でゆうだい21を売ったらとても人気が出るでしょうね。

栽培の難しさと工夫

特にこの東北に関しては苗作りが7割と言われていますから、苗作りをしっかりやっていくことが大切です。苗の段階から徒長気味に作ってしまうと稲が伸びて倒れやすくなります。どうしても山形では刈り取りは10月10日以降になりますので、田んぼに植え付けてから収穫までは長いスパンになりますから、焦らずじっくりやっていくのがひとつのポイントだと思います。
ゆうだい21は非常に苗の伸びが良く、床土の栄養分が高いとどんどん伸びてしまうという欠点がありますので、できるだけ注意しながら追肥しないといけないですね。
植える際の工夫は、通常は坪50株ですが、私は坪60株植えています。コンクールを念頭に考えるのであれば、私は坪60が良いと考えています。近年はゲリラ豪雨もあってあまり密植してしまうと倒れやすく、あまり疎植にしてしまうと天候次第では充実度が下がり、収量が取れません。そのあたりのバランスがゆうだい21の難しさだと思います。

これからが楽しみなゆうだい21

今年からゆうだい21は銘柄米申請が通りましたので、新宿伊勢丹、日本橋三越、大阪高島屋などの百貨店にも販売できるようになりました。デパートに少しずつ店頭販売が可能になれば、いろいろな客層の方々がゆうだい21に興味を持ってもらえるようになると考えています。

炊きたてのお米はどれも美味しいのが当たり前なのですが、私が一番注視しているのは、冷めてから美味しいご飯。いま一人暮らしの人が50%以上なので毎食ご飯を炊かないひとが多い。炊いたお米は2日、3日は冷蔵庫で保存して、食べる時にレンジで温める食べ方になっています。私はレンジで温めた時に炊いたときと同じようなご飯に戻るというお米を目指しています。そういう意味ではゆうだい21は適したお米であると考えています。

今年は稲を見ただけでも去年より期待できるのではないかと思います。私は毎年同じ作り方ではなくて年々工夫して向上させてきていますし、今年も肥料の投入などやるべきことは全てやり尽くしました。天候など気を緩めることはできませんが、今は刈り取りを楽しみに待つ状況です。今年も皆さんに喜んでいただけるようなゆうだい21を食卓に届けることができるのではないかと思います。
食べてくれる方の笑顔を思い浮かべながら、またコンクールにも果敢に挑戦していきたいと思っています。

大学×生産者ページへ戻る